絶対にみちゃダメ!

 それに、伊鈴だって虎が好きみたいだ。

 あたしは伊鈴を押しのけてまで虎を手に入れたいと思わない。

 っていうか、悪いけど男として見れないし。

「俺は小町がいいの!」

 ぴたっと虎が突然動きを止めた。

 まだ音楽はなり続いているからまさか止まるとは思わず、あたしは少しよろめいた。

 虎の手が腰に回って、支えられて転ばずにすんだ。

「小町、大好き!」

 ふっと視界にかかる闇が濃くなった。

 虎が顔を傾けて、近づけて来る。



 ぎゃー!



 ちょ、ちょっとまって。

 何をいきなり。何この展開!




 あたしは腕でタキシードの胸を押そうとつっぱねるけど、距離が近すぎた。

 だめだ!



 と、今にも着地しそうな唇にギュッと目を閉じた途端、






「小町は先約があるんだよ」

 その声とともに、グイッと肩を後ろに引かれた。

 あたしはよろめいて後ろに倒れた。



 コツンと体が何かに触れた。

 細い、男の子の体……声であたしはすぐに正体がわかった。