絶対にみちゃダメ!

 仮面をつけた虎は、口の前で、シーッと指を立てた。

「今は誰かはナイショね」

 声もまるで虎だった。

 そっか、仮面舞踏会って素性を隠して楽しむものだったっけ。

 上流階級の遊びなのかなあ。

 17歳の誕生パーティでやるものとも思わないけど。



「あたし、ダンスなんて出来ないって」

「大丈夫。少しでいいから俺と踊ってよ」

 ストレートで真剣な言葉にドキッとした。

 なんだろう、この雰囲気のせいかな……。

 虎の服装のせいかな。

 今日のあたし、どうにかしてる。





 虎はあたしが手にしていたカクテルグラスを側にいるタキシードの人に渡して、あたしの手を引いた。

 人ごみの中に誘っていく。

 ちょっと開いたスペースのところに収まると、虎があたしの腰に手を回してきた。

 オトコっぽい手つきにまたドキッとする。

 でも、ドキドキしているのを悟られるのはシャクだった。

 恥ずかしいけど、仮面があって助かったかも。




「曲に合わせて軽く身体をゆすればいいから。俺にあわせて」

 虎は嬉しそうに笑いかけてくる。

 もう、そんな顔をされたら、つっぱねられない。