絶対にみちゃダメ!

「小町!大丈夫?お腹すいてたの?」

 聞き覚えのある声が向かいから走ってきた。

「虎!」

 白いタキシード姿の虎だった。

「大丈夫?急に倒れたから心配したよ。俺が側についていたかったんだけど……」

 本気で心配していた表情をしている。

 倒れたのは誰のせいだと思ってるのよ。

 空腹で倒れたと思ったんかい!


 だけど、虎に言っても無駄だし、虎の顔は本当に心配そうだったから何も言えなくなった。


「いいよ、主役が抜けるわけには行かないでしょ。雅が側にいてくれたから」

「そっか……。で、雅は?」

 虎が首を傾げたので、振り返る。

 そこに雅の姿は無かった。

 あーもう、アイツどこに行ったのよ。

 どうせ、ご馳走のところに走って行ったんだろう。

 さっきから部屋の中にいい匂いが漂い始めていた。

「雅も心配かけちゃったからなあ。騒ぎを聞きつけてすっ飛んできたよ。皿を3枚ぐらい抱えてさ」

 虎がそんな風に言ったので、あたしは苦笑いした。

 その姿が想像つくよ。



 でも、そっか、心配してくれたんだ、雅。

 冷たく扱っちゃってちょっと悪かったかも。

 どっちにしたって、雅がすぐあたしに変なことしてこようとするのが悪いんだけど……。

 あれがなければいいのに。