絶対にみちゃダメ!

 部屋で一休みさせてもらった後、あたし達は会場に戻ることにした。

 さすがに途中退出はマズイ。



 雅はキスしてからは、少し機嫌が直ったみたいだ。

 何考えているかは全然分からないけど、どんな気分でいるのかは分かりやすいヤツ。

 キスの事は犬かなんかにかまれたと思って忘れよう……。

 いちいち気にしていたら、雅と同室でなんか生きていけない。





 会場の入り口の大きな扉を開けてもらうと、中はすっかり盛り上がっていた。

 ゆったりとした音楽が流れて、おしゃべりを楽しんでいる人でひしめき合っている。




 雅と部屋に入った途端、さささーっと音も無くタキシード姿の背の高い人がやってきた。

「宮本小町様ですね?」

「はい?」

 折り目正しくお辞儀をされて、あたしは戸惑って返事をした。

「こちらへ」

 手袋のはまった手をすいと綺麗な動作で伸ばす。



 一体何?

 あたしは思わず雅と顔を見合わせた。

 男の人に促されて、雅と一緒に壁伝いに異動する。

 まさか、またあのじーさまのところとかに案内されるわけじゃないよねえ。