絶対にみちゃダメ!

 格好はタキシード。

 小さな丸い眼鏡をかけている。

 その奥の丸くて黒い瞳は、抜け目なく力に満ちあふれた瞳をしていた。



 このじーさま、デキル!

 あたしは思わず姿勢を正して身構えた。




「ほう、虎之助か」

 のんびりとした口調で老人が言った。


 しわがれた、温かい声。

 声こそは年齢を重ねましたという雰囲気がかなり漂っているけど、凛とした威厳も漂ってる。

 只者じゃないよ、このじーさま。





 座った椅子の背もたれに埋もれてしまいそうな小柄さなのに、何倍にも大きく見える。


 ゴクンとあたしは喉を鳴らした。

 さすが孫なのか、虎はまったく物怖じした様子がない。

 天下の東雲グループのヘッドに、なんて気さくなヤツなんだ。

 虎もやっぱり大物だ。




 そんなあたしにまるで気づくことなく、やっぱり空気の読めない虎は、


「俺、小町と結婚するって決めたんだ~」


 高らかにそう宣言した。