絶対にみちゃダメ!

 あたしがポカンとしたままでいたら、

「びっくりした?凄い人だろ?来てくれてありがとう」

 虎が手を広げて会場をアピールするような動作をして、明るく笑った。





 いつもと同じ笑顔のはずなのに、何故かドキドキして直視できない。

 意外な一面に人間は弱いって言うけど、本当かも。

 虎が男っぽく、かっこよく見えちゃうなんてありえない。

 こういう姿を知っているなら、伊鈴が夢中になるのも当たり前かも。

 当然彼女は何度も虎のこういう姿、見ているんだろうから。




「うん、おめでとう、虎。すごいパーティだね」

 あたしは微笑みながらそれだけ言うのがやっとだった。

「だろ?喉かわかない?飲み物もらおうか?」

 虎が自然な動作であたしの手を取った。




 普段だったら抱きついてきたりするのに。

 こういう場所だから?

 いつもこういう風にしてたら、もっといい印象なのに。


「うん」

 あたしはうなずくので精一杯だ。

「こっち。俺が好きなドリンクがあるんだ。お酒じゃないよ。小町もきっと気に入るよ」

 虎は凄くうれしそうな顔をしながらあたしを見つめ、手を引いて歩き出す。

 人ごみをすり抜けようとするたび、周りの人たちが一様にあたしたちを振り返る。