絶対にみちゃダメ!

「俺が?」

 雅は最近、すっかり寮の部屋の中では男の子だった。

 誰かに見られたりしたらどうするんだろう。

 ……まあ、コイツの正体が男だってばれて学院を追放されても、あたし的にはかまわないけど。

「そう。だって一杯持ってるみたいだし」

 あたしは他にも何着かあるドレスと、テーブルの上に並べられた凄い数のメイク道具を見つめた。

「ああ……」

 あたしの質問に、雅はなんともいえない微妙な表情をした。

「これはね、姉さまのなんだ」

「へえ、お姉ちゃんがいるんだ」

 お兄ちゃんがいるあたしは、ちょっと親近感を覚えた。

「もう居ないからどうせ使わないし……母さまに頼んで送ってもらったわけ」

 その口調があんまりにも寂しそうだったから、それ以上は突っ込めなかった。

 もしかして、姉さまとやらは死んでしまったりしたのかもしれない。

 それぐらい雅は悲しそうな顔をした。





 というか、ここで重大なことに気づいた。

「ねぇ、雅のお母さんて、雅が女装して学院に居ること、知ってるの?」

「うん。もちろん」

 なんでもないことのようにあっさり雅が認める。


 一体雅のおうちってどんなところなわけ?

 雅を育てたぐらいだから、みんな頭の配線が違ってるの?



 上流階級ってやっぱりわけがわからない。

 あたしは頭を抱えたくなった。