次の日、あたしは雅と並んで寮から校舎へ向かっていた。

 歩くたびにお腹の下の方がズキズキ痛んで変な歩き方になりそうだった。

「大丈夫?」

 いつもどおりの少しハスキーな声で雅が心配そうに尋ねてくる。

 だーれのせいよ!

 絶対、昨日雅が変なことしてきたのがいけないんだ。

 あたしは雅のコンタクトのはまった茶色い瞳をにらみつけた。

「女の子って大変ね……」

 ふう、とため息をこぼす雅は昨日までの雅と全く変わらない。



 でも、あたしはもう惑わされない。

 コイツが男だってコトを身をもって思い知ったんだ。





 どうも口調や雰囲気まで少し変えるみたい。

 わざとなのか無意識なのか分からないけど、たいした役者か、二重人格であることは確かだ。



 ピシっと女の子の制服を着こなしている背の高い雅。

 男にしては背が低いし華奢だから何とかごまかせてたんだろう。

 でも、もうあたしはだまされないよ。

 っていうか、一年も学校に通ってるのに、何で皆気づかないの?

 やっぱりコイツはどう見たって男だ。