絶対にみちゃダメ!

 すると、雅は大きなクッションを胸に抱いてそろそろとカーテンの向こうからやってきた。

 あたしが今着ているような、水色のシンプルなパジャマを着ている。

 フリフリで乙女ちっくなネグリジェでも着ているかと思ったから、意外だった。

 今更、最近寮でまともに雅と会話していなかったことを思い出した。

 授業が本格的に始まってから、あたしは勉強ばっかりだったから。

 もしかしたら、寂しかったのかも。





 あたしは雅と並んで、ベッドの頭の部分にクッションを並べて寄りかかった。

 薄暗い部屋の中、枕元のスタンドのオレンジ色の電球だけが浮かび上がっている。

「学校は慣れた?」

 雅がおなかの上においてあるクッションのカバーを長い指でいじりながら、柔らかい声でそう聞いてくる。



「うん、もう大丈夫~。たまに家に帰りたくなるけど」

 お兄ちゃんが待っている、あのお家に。

 あたしはそっとまぶたを下ろした。

 お兄ちゃん、今頃どうしているだろう。

「ごめんね、最初の頃泣いたりして。あの時はありがとう」

 あたしは泣いたことを思い出して、恥ずかしくなってうつむいた。

 そういえば、あの時雅に寂しくなくなるおまじないをしてもらって度肝をぬかれたんだっけ。

「ううん、いいの。そういう気持ち、私も入学した頃感じたし」

 あたしだけじゃないと思うと、途端に気持ちが軽くなる。

 雅ももしかして、泣いたりしたんだろうか。