絶対にみちゃダメ!

 入学して2週間がたったころ、あたしはその日も夜遅くまで予習・復習をしていた。

 雅はカーテンの向こうで既に電気を落としているから、あたしはスタンドの明りだけが頼りだ。

「ねえ、まだ寝ないの?」

 カーテンの隙間から雅が心配そうな顔を覗かせた。

 机の上の赤い時計を見ると、深夜も2時を回ろうとしていた。

 白い家具の中で真っ赤な、しかもこの古びた目覚まし時計はちょっと浮いている。

 だけど、あたしが家から持ってきた大切なものだった。

 お兄ちゃんが買ってくれたんだ。





「ごめん、うるさかった?」

「ううん、大丈夫。でも心配で」

「ありがとう」

 たしかにそろそろ終わりにしないと。

 明日の授業で居眠りしちゃったりしたら、意味がないから。


 あたしは机の上に広げていた教科書やノートを閉じて、大きく伸びをした。

「ねえ、すぐに寝る?」

 雅がそう問いかけてくる。

「ううん、まだすぐには寝つけなそう」

 あたしは苦笑いした。

 頭の中で今勉強したことがまだグルグルしている。

「そっか、ねえ、ちょっとおしゃべりしない?」

 雅の提案に、あたしは二つ返事で頷いた。