絶対にみちゃダメ!

 ぼんやりベッドの天井を見ていると、あたしは家を出てついに東雲学院に入学したんだって実感がわいてくる。

 お兄ちゃん、今頃何をしているんだろうか。

 あたしが側に居なくて、寂しいとか思っていないかな。

 不自由はしていないだろうか。

 お兄ちゃんってば、何にもできない人だから。



 頭の中に、優しいお兄ちゃんの顔が思い浮かぶ。

 大好き、お兄ちゃん。



 そう思った途端、強烈な寂しさが襲ってきて泣きたくなった。

 ここはお家とは違う。

 狭くて古くて汚かった家とは。

 でも、あそこは暖かかった。

 あたしとお兄ちゃんの生活のにおいが染み付いていた。

 二人だけの空間だった。




 あたしは気持ちを押し付けようと、目の上に腕を乗せた。

 ジワリと腕が湿りだす。


 ああ、ダメだ……。



 ずっと我慢して閉じ込めていた感情が、噴出すみたいに涙になってあふれた。

 一度あふれ始めると、止めることなんかできない。

 次から次へと頬をつたって落ちて、枕を濡らしていこうとする。



 お兄ちゃん……。