絶対にみちゃダメ!

 あたしはパーカTシャツにミニ丈のパンツをあわせて、部屋から出た。

 ちょっとラフすぎるし、豪華な建物に似合わないかと思うけど、シンプルな格好の方が本当は好きだ。

 寮に居る間ぐらい好きにしていいよね。

 雅はさすがにお嬢様なだけあって、ちゃんとしている。



 男子寮と女子寮の間に食堂はあった。

 庭に面していて、テラスがあった。

 ガーデンテーブルがいくつか置いてあるところを見ると、さっき雅が言っていたテラスってここなんだろう。

 たしかにここで庭の景色を見ながらお茶を飲んだら気分がよさそうだ。

「あ、今日のメニューはビーフストロガノフだって」

 雅が革張りのメニュー表を開きながら嬉しそうに声を上げる。

 ビーフス……??

 あたしにはちんぷんかんぷんだった。





 食堂では、カウンターでメニューを頼む形式になっている。

 トレイに大きなお皿が乗せられてきた。

 付け合せのサラダとフルーツまである。

 これがまた綺麗に盛り付けられていて、本当に高級レストランみたいだ。



 ビーフストロガノフっていうのは、見た感じカレーライスかハヤシライスみたいなものだった。

 よかった、食べるのがややこしそうなのじゃなくて。

「ねえ、いつもこんなメニューばっかりなの?」

 カツ丼とか、おにぎりとか欲しくなったらどうしたらいいんだろう。

 お茶漬けとか食べたくなりそう。

 雅を見ると、慣れた様子でパクパクとスプーンを口に運んでいる。

 おしとやかな見かけより大食いみたいだ。