絶対にみちゃダメ!

「虎様、酷いですわ。今日は私と過ごしてくださる約束だったではありませんか」

 言葉遣いまで時代錯誤級にお嬢様チックだった。

「あれ?そうだったっけ」

「そうですわ」

「……うーん。わかった今日はお前に付き合うよ」

 虎は名残惜しそうにあたしの方を見つめ、しぶしぶ伊鈴に向き直った。

「嬉しいですわ!」

 伊鈴はかなり嬉しそうに、バラでも咲いたみたいな笑顔を浮かべる。

「じゃあな、小町!また明日な~」

 ぐりぐりと虎はあたしの頭を撫でて、伊鈴と去っていく。

 背中を見つめて、心底よかったと思った。

 放課後も四六時中虎に付きまとわれたら、あたしの胃に穴が開くか、虎が病院送りになるか、どっちが先かという感じだ。

 それは非常にまずい状況だから。





 全身にどっしりと重石でも乗せたように疲れてしまって、椅子にへたりこんで机に突っ伏した。

「大丈夫?」

 雅が心配そうに声を掛けてくれる。

「疲れた……」

 本気でぐったりだった。

 初日からこんな調子で、大丈夫なのかな。




「行こう、テラスでお茶でも飲もうよ。お天気がいいから。気分がよくなるよ?」

 雅に慰められるように肩を叩かれて、あたしはのろのろ身体を起こした。

 テラス、お茶。上流階級ってやっぱり優雅だ。

 縁側で緑茶……ってのはないよね、やっぱり。