絶対にみちゃダメ!

 というわけで、ぶっちゃけ色恋なんかに惑わされている場合じゃない!

 あたしはここで未来をつかむんだから。



 どうせ、イイトコロのぼっちゃんは、あたしみたいな貧乏で平凡な女なんかに興味を持たないと思ったのに。

 編入初日からこんな調子だ。

「こーまーちー」

 虎之助がウザイ。

 整った顔をしているんだから、黙ってりゃ結構カッコいいのに。



 でも、拒めないんだからしょうがない。

 コイツは東雲一族なんだから。

 嫌われて、学院から追い出されたら、今までの苦労が水の泡だ。



 ため息を必死に飲み込んでいたら、いつのまにか先生の話が終わって、教卓の前には誰もいなくなっていた。

 重要な話を聞き逃したら、虎のせいだ。

 あとで雅に聞いておこう。 



「さて、出ようか。小町」

 雅がニッコリと微笑んで腕を取ってきた。

 今日はもう用事がないらしい。

 雅は純粋に1年生からこの学校に通ってきているらしい。

 正しくいい所のお嬢様みたいだ。

 お行儀もいいし、しぐさも品がある。

 虎とは大違い。



「ちょっと待てよ、雅。小町はこれから俺と過ごすんだよ」

 勝手に虎がそんなことを言い出して、反対側の腕をとってきた。