そしてストレスその2。

 言うまでも無く漬物石・雅。

 雅もさすがに伊鈴の前ではおとなしかったけど、隣に座っていてもの凄く不機嫌そうなオーラを放っている。

 顔は涼しげでむしろちょっと微笑んでるのに。

 上流階級って怖いよー!




 ってか、ちょっと席をずれて欲しいんだけど。 

 ずれたところで横にスライドするだけだってのも分かってるけど、なんだか雅と密着するのはイヤなんだ。

 気分が悪いって分けじゃない。

 なんかちょっと……あの虎の誕生日の夜から、どうやって距離を置いたら良いかわからなかった。




 まっすぐすぎる雅に、タジタジしちゃうあたし。

 雅は気づいているのか気づいていないのか分からないけど。



「酷でーよ、小町!俺、すっごく楽しみにしてたのに」

 虎はしょんぼりと机に腕を置いて前かがみになって、頭をコテンと乗せている。

 顔の方向はあたしを向いている。

 黒い瞳があたしの方をじっと見ていて居心地が悪いったらありゃしない。

「うざいわよ、虎之助。毎日毎日アンタは小町の金魚のフン?」

 雅があたし越しに、凄く邪魔そうな目を虎に向ける。

「違うよ、小町は俺の婚約者。ねー、小町」

 ねー、なんていわれても困る。

 伊鈴が凄い目でにらんでるし。