「河野さん、もーすぐ頂上だね」

「え?あ、うんっ」

 カップルだったら、頂上でキスとかするんだろうなー・・

 いや、あたしなんかと北條くんが付き合うわけないよっ。

 なんて女だ、あたしは。

 そんなこと考えることすら許されないレベルなのに。


 落ち着かなくてキョロキョロと周りを見渡す。

「あっ、橋村くんだ!」

 後ろのゴンドラに橋村くんが乗ってた。

 真珠と楽しそうに喋ってて、胸が痛くなる。

 あー、嫉妬しちゃってるよ、あたしってば。


 橋村くんがあたしの視線に気付く。

 どきんっ・・

「河野さん」

「んー?」

「・・・こっち向けよ、美羽」

 どくんっ... 北條・・くん?

 パッと振り返ると

 目の前には北條くんの顔があって。


 そのままあたし達はキスをしていた。

 そこは頂上だった。