「そーなの?
じゃあ俺狙おっかなー」
冗談ぽく言ってこっちをチラッと見てくる。
「好きにすれば。じゃーな」
素っ気なく言って教室に入る。
冷静を装ったけど、ドアを開ける手が微かに震えていた。
あんなチャラい奴に河内を渡してたまるかよ。
席について窓側を見ると河内と苗原がいた。
隣には俺の幼馴染の秋斗も。
何か楽しそうに話している。
満面の笑み……か。
秋斗と話している河内も、満面の笑みだ。
秋斗はモテる。
野球部で運動神経バツグンだし、顔もいいし、何より優しい。
なのに俺は馬鹿だし、運動神経はまぁいいほうだけど誰にでも優しくないし、いつも河内を馬鹿にしてるし。
もしかしたらあいつは秋斗が好きなのかもしれない。
もしそうなら、俺は諦めるしかない。
秋斗に勝てるワケがない。
秋斗が河内を好きにならなければ……
