少し暑い通学路をタラタラと歩く。
もうさくらは完全に散り、夏になる。
「よっ、雄貴。」
後ろから友達に声をかけられる。
「おぅ」
適当に話しながら歩いていると隣にいた友達が急に話題を変えた。
「なぁなぁ……」
ニヤニヤしながらこっちを見てくる。
「なんだよ気持ち悪りぃな」
「あの子可愛くね?」
指さされた先をみると2人で歩いているうちの片方の
毛先がクルクルと巻かれたロングヘアの女の子がいた。
同じクラスの河内さくらだ。
「なんだあいつかよ」
「雄貴知ってんの?!」
知ってるも何も同じクラスだし。
よく話するしな。
「あぁ、まあな」
「なんだよー、じゃあ紹介してくれよ!」
顔の前で手を合わせて「頼むっ」と俺の顔を見てくる。