『じゃあ、櫻野。目覚ましの問題!』
先生はそんな私にニヤニヤしながら問題を解けと言ってきやがった。
「……。」
この問題。
「…√3。」
簡単じゃん。
『…………お前さぁ、普段寝てるくせにさー、何で高3レベルをスラッと解いちゃうわけ?』
"ああああ〜"と口から言葉を吐き出し、教卓に伏せる数学の先生──つか、担任の山本先生。
若いんだから、早く彼女をつくりなさい。
なんて心の中でツッコミを入れ、今日何度目かの溜め息をついた。
『雅かっこい〜!』
『雅さいこーw』
───頭は割と良い方。
ただ、学校生活がつまらないだけ。
バイトも期間が過ぎたから辞めちゃったし。
彼氏だっていない。
それに普段がサバサバしていたりするから、"クール"とかで有名らしい。
ほら、現にこの教室内。
男女問わずキャーキャー言ってるし。
「先生、授業進めないと怒られるぞー。」
そんな言葉でも、
『、続きやるぞー!』
『雅に影響されすぎ〜。』
『雅様サマじゃん。』
なぜか盛り上がってしまう。
