『 仮 で付き合わない?』
「かり?」
仮 って、どういうことだろう?
分からなくてコテンと首を傾げてみる。
『えっとね、やっぱり噂は広まっちゃうと思うんだ。』
「うん。」
『でも、付き合ってないってバレたらもっと騒がれる。』
「うん。」
『だから、怪しまれない為に俺は雅ちゃんの彼氏"役"、雅ちゃんは俺の彼女"役"をする!』
「………うーん?」
つまりは、薫くんの彼女役。彼女ではない。
でも、さっきとそんなに変わんないような…?
『じゃあ雅ちゃんは付き合ってないって騒がれて厄介なことに巻き込まれていいの?』
う………、
なんて意地悪な質問。
どっちにしろ、噂になるとは思うけど。
んー……まあ、
付き合ってないって言ってややこしくなる方がめんどくさいや!
「……わかった。」
『ホント!?』
キラキラした笑顔の薫くん。
「え、あ、うん。」
少し圧倒されながら答えると、
『やった!俺、遠野薫。これから宜しくね?雅。』
───っ
呼び捨てされました。
いきなり、呼び捨てですか!
心臓バクバク。
破裂しそう!
「よ、ろしく。」
櫻野 雅 17歳。
春。
初恋の相手の彼女役を
することになりました。
