本気で頭を下げたら見事に、机に額を激突。




「いッ.......!!」



「痛そう。
大丈夫?編集さん」




言葉だけ聞いたら、いい人なのに。


その表情だけはやっちゃいけないと思う。




「笑いたいなら、思いっきり笑ってくださって結構ですから」



「そう?
なら思いっきり笑わせてもらうよ....ブハッ」




堪えていた笑いを爆発的に出して、彼は腹を抱えながら笑っていた。



私は、また少し変わったキャラに戸惑いながらも、今回は対応出来た方だと思う。



この作家はカメレオンとか、七変化の騒ぎでは無いからな。


本当に嫌だ。




「今度は一体、どんな主人公なんですか?」




若干の酸素不足になりながら、彼は原稿を見つめる。



何故だか、
今まで見たことも無い瞳をしていた。




「今までで、一番俺に近くて遠い」



「えっ?」



「何だろうね。
今までで、一番言い作品になるはずなのに。

簡単に物語全部を書いても、足りないんだ。」