いきなりのドアップに焦る私。



彼は鼻で笑うと、鞄から原稿用紙を取り出した。




「決めたんですか?ジャンル」



「うん、決めたよ」




決めたよ。

じゃなくて、言ってもらわないと困るんですけど。



とりあえず、私は担当者であって。


今後のスケジュールとかも話さないといけなくて...




「あの、ジャンルは....」



「俺の中の半分までいったら、編集さんに見せてあげる」




あげる。

じゃなくて、見せてもらわないと困るんですけど。



とりあえず、私は編集者であって。


原稿とかを見て、チェックしないといけなくて...




「せめて、ジャンルだけでも教えてください」



「えぇー。
だって絶対的に、編集さん怒るよ?」



「はぁ?」




私が怒るジャンル?


そんなの無いと思われるんだけど?



彼は私を見つめると、スラスラとペンを動かした。