何が一番苦手って、このキャラ。



その物語になりきる素質があるのか、キャラが作品によってコロコロと変わる。



もちろん、見ている読者的には飽きないだろうが、編集者的には作品ごとに対応に困る。



優しかったのが、いきなり荒れる性格になったり。


荒れてたクセに、デレデレする性格になったり。



編集者の性格がボロボロになっていくんではないか。


と思いながら、私は働いていた。



突然の担当変更を告げられたのは、昨年の初夏だった。



入社して間もない私が、人気小説家の担当者。



編集長に理由を聞いたら
『無表情で、性格とかキャラが人間としてなさそうだから』



と肩を上下に揺らしながら言われ、私もただ頷くしかなかった。



ちゃんと自分なりに、理解はしているつもりだったから。



そこまでピシャリと言われるとは、思ってもいなかったけど。




「編集さん、今度はどんなジャンルがいいと思う?」




ミルクティーをストローで飲みながら、輝かしい瞳で聞いてくる人気作家。



そんぐらい、自分で考えろよ。



私はそう思いながら、考えているフリをして、頬杖をついた。




「編集さんってさ、
マジで考えて無い時に、頬杖つくよね」



「.........」



「違う?」