みんなが皆

彼にはなれないのだから。




「しかし、予約で100万部越えって恐ろしいですね」



「えっ?」



「また新作出すんですよね、僕尊敬してるんで、予約しましたよ」




まだ印刷会社からも来てないのに、もう予約始まってるんだ。



私が担当を外れた時から書いてた話。



脅威のスピードで書き上げたんだとか。




「前、担当だったんですよね?」



「えっ、えぇ。
短いから...担当とも言え無いんだけど」




嘘。


ここ最近の彼の担当者の中では、一番の長さのクセに。




「そんな方に担当になって貰うなんて、ほんと感激です」



「だから、そんなに立派じゃないんだって」




嘘。


一番彼の性格の変化に、ついていけていたクセに。




「じゃあ、コレで頑張ってみます」



「うん、軽く出来たらFAXしてくれる?チェックしちゃうから」



「はい、分かりました。ありがとうございます」