私の彼は人気小説家です【短】


彼の目の前で手を振って、彼の動きを確かめようとした瞬間だった。



テーブルの上のマグカップが落ちる音と、まだ飲み干していなかった私の分。



白いカーペットにシミの輪を作っていく。




「..........」



「..........」




ベッドに押し倒された私。


マグカップ達に当たった左手が、少しジンジンする。



彼は何も言わずに、世の終わりみたいな瞳で、私を見つめていた。



あまりの瞳に、言わなくちゃいけない言葉も出ない。




「何でおちない?」



「.........」



「お前くらいだ。

俺の一番近くにいて遠いのは」




“一番近くて遠い”


あっ、この前も言っていた言葉。



今彼は、私のことだと言った?




「この前は、ご自分の性格とかなんとか...って」



「だから?」



「.....意味が分かりません。

私には理解が出来ません」