仕事としていつも来てるから、なんか変に緊張する。



休みの人に、仕事の話とかはしたくないし...


されたくも無いだろうし。




「編集さん、ココ座っていいよ。

俺どくから」



「えっ、でも....」



「今日はお客様でしょ」




私の手を引いてソファーに座らせると、彼はキッチンに向かう。



ダイビングに広がっていくコーヒーの匂い。



彼のコーヒーは豆が良いだけじゃない。


豆を挽いているからじゃない。



彼自身の、本来の性格がコーヒーに詰まってる。




「編集さんって、この珈琲を飲むときだけは笑顔だよね」



「そうですか?」



「うん、毎回可愛いなぁって思う」




.......。

何を根拠にそんなことを言えるんだろう。



彼は物事を軽く言いすぎだ。



でも素直に喜んでしまうのが、女の性で。



顔とか身体が熱い。


すべてが彼に反応しているようだ。