わらわらの移動に時間を取られた佐倉は、ゆっくりと夕城のものたちに祝いの言葉をかけて屋敷を出たのだった。
「姫たちはどうする?アタシ等は空を行くけど」
「重箱を持っていては歩けませんわ。先に行っててください」
「……寒緋、また後で」
そうか、と言って寒緋は空中に足をかける。
佐倉お家芸(数種の眷属が人型の状態限定)《空中散歩》。
原理は簡単、足で踏める程の大きさの結界を一歩ずつ創るだけ。
これでわらわらの大移動も楽に済む。
重量制限があるのが難点だが。
《陽炎》と共に空を歩いたこの日の佐倉の行列は後に百鬼夜行として、一時期天神地区を賑わしたとか賑わさなかったとか。

