原則的に佐倉の名を持つ一種につき一本の木が、化身として動き回るために人の形を取ることができる。
その例外が天神学園の結界を維持する役目をするときに使われる方法だ。
大量の木を必要とする結界維持。
それらを一本一本植え替えることは不可能だった。
そのため、佐倉たちには一時的に自分の眷属を人型にする力を与えられている。
言葉は話せないし、幼子の姿だが木が自分で動いてくれるのはありがたい。
もちろんその反動はそれなりにあるわけだが佐倉たちにしてみればいつものこと。
文化祭に続き月見の会でも使われたことでこれからも使用する回数は増えそうだ。
……一つだけ問題なのは。
「やはり、これは複数使うものではないな」
「声をかけすぎましたわね。今回は寒緋に四季に十月に……」
「言うなっ!わらわらと鬱陶しい」
桜一種につき何十本といるのだ。
二種、三種と人型にしようものなら足元にわらわらと幼子がひっついてくる。
特に今回は祝いとして沢山の木を連れてきているから尚更だ。