ぷうっと頬を膨らませて抗議する吉野の頭を御衣黄は撫でる。

「吉野、今回は我慢しましょう?体育祭は吉野の身体に負担をかけてしまいます」

「いーやっ!!お姉ちゃんが最後に行きたかったのは体育祭だもん。お姉ちゃんと一緒に参加するの!」

絶句した。

彼女が最期まで願っていたのは直前に迫っていた体育祭に参加すること。

そんなこと、今まで気がつかなかった。

ただ、遊びたいのだとばかり。

「吉野……」

泣きたいのを我慢しているのが丸わかりの顔、それでも吉野は泣かない。

何故なら、それが彼女との約束だから。