「……これは?」
「昔は電気なんかなかっただろう。それでも夜仕事をしたいときがある。そんなときにアタシが発明したのさ」
「元々夢桜は術者のイメージを具現化するものです。安全面も考慮して陽炎は触っても熱くありません」
「今は電気で何でもできるから使わなくなっていたんだが」
明るくなったことで学園の関係者たちはまた庭に広がり始めた。
「まぁ、こんな使い方なら悪くないね」
陽炎は元をたどれば夜行性の人外への対抗策。
夜でも味方と敵が判別できるようにと開発されたもの。
それが今、月見の明かりとして平和利用されている。
「ええ。悪くないですね」
寒緋と御衣黄は口元に笑みを浮かべて乾杯、と杯を上げた。

