成り行き上月見を企画することになったものの、そもそも月見の仕方がわからない。
さくらの園でやるならそれでもいいが外でやるとなったら考え直さなくてはならなかった。
とりあえず、初に聞き込みをして概要を教えてもらう。
すすきと酒はさくらの園で用意ができる。
しかし祝いの席で料理がないわけにはいかないだろう。
「ご飯……」
「佐倉は酒の肴しか食べないから……本格的な料理が用意できませんわ」
しかも月見は建て前でその実、出産祝いなのだ。
できるだけ豪華にしたい。
「心当たりがないわけではないよ」
「……おばあ、本当?」
二人の会話を聞いていた初が助け船を出す。
「ああ。あの子もお祝いがてら引き受けてくれるだろうよ」
「良かった。……では、お願い致します」
咲耶姫と衣通姫はぺこりとお辞儀をした。
初は、笑っていた。

