イチャつく二人に悟られないようにそっとため息をもらしす。

実はこの頃、変わったと言われることが多い。

記憶を引き継ぐ寒緋は生まれたときから以前の寒緋と瓜二つ。

違うのは外見と口調くらいだろうか。

それも同じにしようとすればできなくもない。

もはや寒緋は《寒緋》として完成されているとさえ言っても過言ではないと思っていたのに。

今更変わったと言われても困る。

どうしていいのかわからない。

寒緋の中にある数多の記憶たちも頼りにならない。

寒緋には他に頼るものが無いというのに。

こんなときに役に立たなくていつ役に立つのか。

記憶が増えた分だけしがらみが増えるだけだ。

寒緋はもう一つため息をもらした。