「む。それじゃあ姫君たち、アタシに用があるのか?」
二人は姫君たちと呼ばれて満足したのか、あっさり用件を話す気になったようだ。
「許可を取りに来ましたの」
「天神学園に出る許可」
「そんなもん、アタシの許可はいらないだろう。勝手に行けばいい」
衣通姫と咲耶姫は顔を見合わせた。
まるで、どこから説明したものか悩んでいるようだった。
「ん?何か違うのか?」
「……木花咲耶姫様に会ってきた」
「咲耶姫のもう一人の主だな」
「どのような神か知っていらっしゃる?」
「そうだな……。火の神と水の神、妻の守護神、出産と子育ての神ってのもあったか?」
「……そう。木花咲耶姫様は妻の守護神……子育ての神でもある」
「まだわからないのかしら」
呆れた顔で衣通姫が言うものだから、気になって記憶を探ればすぐに思い当たることがあった。
「奥方か」
二人が同時に頷く。
妻、子育て、出産。
当てはまるのはタイマントーナメントの際耳にした教師の夫婦の話だ。

