「わかっているだろう。管理者は結界の要、いい加減にしていいものじゃない」
「あら、結界が暴走したことなんてありまして?咲耶姫」
「わたしが……知ってる限りではないよ。衣通姫」
この時、寒緋の前にいたのは二人。
佐倉 咲耶姫(さくら さくやひめ)と佐倉 衣通姫(さくら そとおりひめ)。
共に花王の眷属であり、『姫』の名を冠するものとして双子のように仲がよい。
そして、双子のように正反対の性格なのだ。
衣通姫は名付けとなった『衣通姫』と同じく、衣を通してなお輝く美しさを持つ。
髪は低くまとめて自身の大輪で淡紅色の花をあしらっている。
性格は高飛車で傲慢なところがあるものの、根は悪くなく咲耶姫には優しい。

