若いと言える年齢までも生きられなかった彼女。

彼女のことは目の前の吉野も覚えている。

だから、周りが過保護過ぎるほどに構っていても、年に一回春にしか外に出られなくても我慢していた。

それでも、その吉野が唯一つ譲らない願いがあった。

「お願い御衣黄。吉野はお姉ちゃんが楽しそうに言ってた天神学園のみんなと遊びたいの!一回でいいの、お願い……」

前任の木が語る学園の生徒たちと遊びたい。

それが吉野の唯一の願い。