――「これはどういうこと?」
『……すみません』
「謝られても困る。説明」
『えっと、色々やっても寒緋だけ書けませんでした』
「で?」
『なので寒緋の回が終わったら書こうと思ってたものを代わりに書きたいと思います』
「別にアタシはアンタ、水羅に対して何の感情も持ち合わせてない。そりゃあ、みんなみたいに自由に生きたかったけど。そんなこと言っても始まらないだろう?」
『……わかってる。私が寒緋の物語を書けないのは私のせいだよ。私が寒緋を《失敗》だったと思ったから』
「アタシに対しての侮辱だ。アタシはアタシを可哀想だとは思わない」
『今は思ってないよ。でも、一回思ってしまった。《完成》した寒緋を夢見た。だから、書けなくなった』
「はぁ……本編で見たアタシに文句なんか全くないんだろう?だったら失敗とか、完成とか、関係ないじゃないか」
『いいや、もっと自由にできたはずなんだ。同じ役目でも自由に設定してやれば良かった』
「そうすれば、幸せだったとでも?笑わせるな。アタシはアタシだ。花王もおばあも御衣黄も吉野も冬も、アタシより幸せだと思ったことはない。アタシは幸せだよ。確かに自由じゃあなかったけどね」
『でも』
「今、わかっただろう。水羅がなんでこんなにアタシに構うのか」
『……』
「アタシのことが大好きだからさ。寒緋桜の化身が、大好きだからさ。だから、もっと自由に生きてほしかった、違うか?」
『……違わない。大好きだよ、寒緋』
「なら、もういいだろう。答えが見つかったなら読者様にこんなものを読ませ続けるわけにはいかない」
『そうだね。あー、なんか寒緋はやっぱりいいなぁ』
「惚れ直したか」
『もちろん。愛してるよ』
「よし。じゃあ、次のページからは豪華共演だな」
『全員参加の座談会、始まります!』