「花王の眷属だとわかるのも、お初さんと懇意なことも、小岩井さんとの仲も隠すつもりはないわ。
てもね、私たちが人外とも呼べないものだと知られたくなかった。生徒にも、教師にもね。」

「だからあんな無茶したのか。わからないな、そんなこと天神学園のものが気にするとも思えないし」

寒緋の言葉に苦笑する冬。

「私が嫌だったの。みんなが気にしないでも私が気にする。だから、私がああしたかったの」

「……佐倉は皆心配してたんだから」

「ごめんなさい」



修学旅行の日、冬は異世界からいつでもさくらの園に帰ってくることができた。

冬はどんなに人間に見えても冬桜の化身。

本体は常にさくらの園にある。

化身としての存在を消せばすぐにでも帰ってこれたのだ。

佐倉はさくらの園から離れれば離れるほど力を失っていく。

異世界で結界を長時間張り続けられるわけない。

……はずだった。