「冬、お疲れ様」
何とか修学旅行も終わって一息ついていたとき、冬に話しかけてきた佐倉がいた。
「久しぶりね、寒緋」
着物をはだけて大胆に開けた胸元、花魁のように華やかな髪型。
数多ある簪の中でも目を引くのは濃緋紅色の寒緋桜。
彼女が動くたびに特徴的な釣鐘状の花が揺れて見るものを魅了する。
彼女の名は佐倉 寒緋(さくら かんひ)。
寒緋桜の化身であり、人外穏健派教師陣が一人。
結界を専門とする佐倉の中で唯一の超攻撃型だ。
「やっぱり修学旅行は疲れた?まさか異世界にまで飛ばされるとはさすがに思ってなかっただろう」
さくらの園の中立地帯にある芝生で微睡んでいた冬は、少し横にずれて寒緋に場所を譲る。
寒緋は礼を言って横に座った。