天神学園高等部へ入学することに決めたらしい男子中学生は走り去ってしまった。
「そう言えば、名前を聞きそびれてしまいましたね」
イリアは桜の下でしばらくたたずんでいたが。
「イリアさん?どこですか?」
高機能なネコミミが拾った愛しい人の呼び声で我に帰る。
「今、参ります」
この話をしたら主人は喜んでくれるだろうか。
自分たちが運営したオープンスクールはちゃんと実を結んだのだと。
後少しの任期を残すのみとなった生徒会長の元へと走りながらイリアはちらりと考えた。
二人が立ち去って残ったのは桜だけ。
桜だけがそこにたたずんでいた。
――――番外編の番外編 終わり。