「そうか……」
しばし二人で桜を眺めていた。
このまま桜を眺めていてもいいのだが、少しイリアに確認したいことがある。
美しい桜から視線を外して彼はイリアに向き直った。
「少し聞いても良いか?」
「何でしょう」
「あんた、人間じゃないよな」
「……はい」
桜を見つめたままイリアは悪戯が見つかったときのような表情を浮かべた。
ばつの悪い、照れたような表情。
「一般人だと思っていました」
「俺がか?」
「あまりにも普通に話すものですから。私が人外とわかっていらっしゃる方でそんな態度をするのは一握りです」
天神学園以外では、と付け加えるのを忘れない。
「最も、私が人外だと気付いている生徒や先生方がどのくらいなのか存じ上げませんが」

