「申し遅れました。天神学園高等部三年、イリアと申します」
深々とお辞儀をされたことよりも高校生だったことに衝撃を覚える。
てっきり中学生かと思っていたのだ。
校内にも迷子用の生徒しかいなかったから他の生徒がいるとは考えなかった。
衝撃をどうにか乗り切って彼はネコミミメイド……もとい、イリアに疑問を投げかける。
「なんでここに?野外には迷子用の生徒はいないはずだけど」
「桜の様子を見にここまで。そんなことはないかと思いますが、枝が折られていたりすれば大変ですから」
確かに中庭には咲き乱れる冬桜。
珍しい桜だ、持って帰ろうとするものもいるかもしれない。
「折った奴はいるのか?」
「いいえ、幸いにも傷ついた個体は見受けられません」

