祖父が何故天神学園を離れなければならなくなったのかを教えてもらったのはついこの前だ。
今なら祖父の苦悩がわかる。
あの日教えてくれなかったわけも。
彼はその話を聞く前から祖父の意志を受け継ぐ決意は密かに固めていたし、そのための準備もしていた。
ただ、一目見ておきたかった。
彼自身の母校となるところを。
どんな雰囲気なのか、どんな生徒がいて、どんな先生がいるのか。
自分の目で確かめて見たかったのだ。
それから彼はたくさんのところを見て回った。
教室、屋上、体育館、食堂、プールに至るまで隅々まで堪能する。
意外とこの自由すぎるオープンスクールも悪くない、と認識を改めて彼は家に帰ることにした。

