――彼の祖父は今でも天神学園を愛している。
天神地区を訳あって離れた今でも孫である彼に昔話として天神学園での日々を面白おかしく語ってくれた。
物心ついたときから聞いている昔話。
それは一度も同じ話を聞いたことがない。
学校に隕石が落ちてきて大変だったとか、学園長が異世界に行っているとか、荒唐無稽な話も多かったが彼はそこも含めて祖父の話す話が大好きだった。
難しい顔をしていることの多い祖父が柔らかい顔で話すのが好きだったのかも知れない。
時間があれば祖父の昔話を聞きに行った。
父や母が嫌な顔をしようが関係なかった。
そんな彼のことを可愛がった祖父は特別な話もしてくれた。

