「……やっとついた」

なれない土地だったために迷いに迷って、最終的に最寄り駅まで戻って同じ目的であろう中学生について来た、という何とも情けない男子中学生。

この《彼》こそが物語の主人公。

今回、第一回オープンスクールに参加する一人だ。


彼はやっとの思いでたどり着いた天神学園に足を踏み入れたのだった。

「天神学園高等部第一回オープンスクールへようこそっ!!」

正門では元気よく声かけを行っていた。

ちらほら制服でない生徒がいるのはご愛敬だ。

笑顔で渡されるパンフレットなどが入った袋を受け取って彼は中庭へと入っていく。