冬の佐倉での立場は特異だ。

外で結界を創るのは咲き誇る冬の間だけ。

絶対数が足りない季節だけ外に立つ。

それ以外はさくらの園の中で静かに先人たちを鎮魂しているのだ。

冬は先代から役目を引き継いだ。

枯れる木々を看取る役目を。

長い間役目を勤めた。

覚えていないほど看取ってきた。

だからだろうか、ふとした拍子に気持ちが揺らぐ。

佐倉は皆桜にも魂があると思っている。

そうでなければ自分たちの存在が説明できないからだ。


――でも、冬は魂というものを見たことがなかった。