止めようとした者もいる。
大勢。
彼女たちは寂しかったのだ。
そして、変わるのが怖かったのだ。
彼が変わってしまうのではないかと怖れた。
結果的に彼は死神で無かった頃とは違ってしまったけど、相変わらず校内で桜に話しかけたりしている。
彼女たちの心配は杞憂となった。
佐倉中が騒然となっていたその頃、佐倉 冬は少し不謹慎だったかも知れない。
彼が死神になるのならそうなればいいと思っていたし、むしろ身近に死神がいれば楽だとさえ思っていた。
冬は彼が死神になったからと桜たちとの関係を白紙に戻すことはしないとわかっていた。
そもそも初との絆を断つはずがない。
ならば何も怖がることはない。
彼が前に進むのは良いこと。
止めた時が進むのは喜ばしいことだ。
そう冬は思ったのだ。