――この世には不思議な事が溢れている。 佐倉という存在もそうだ。 でもそのことを認めたがらないものもいるのだ。 そういう人間は大抵不思議を見ないか、見ても錯覚だと断定する。 ――天神地区には不思議が溢れている。 だけれども、誰もそれを意識しない。 非日常が日常と化している。 馴染まない人間などいないし、馴染めない人外などいない。 そんな奇跡みたいな地区に天神学園はあった。