彼は少し前まで、人間にそれほど興味がなかった。

いや、人外に興味があったと言った方がいいだろうか。

この地に生まれ、育ったものとして目指したのは"人外がのびのびと暮らせる地"だったからだ。

その夢が叶った今、御衣黄は学園に関わる気はなかったし、必要もなかった。

しかし。

半ば強引に復帰させられた教師の職を御衣黄は悪いものではないと思っている。

今の人間と人外で全く差のない形こそが彼の敬愛する二人の理想であるとわかったから。

あぁ、でも。

やはり昔の考えを改める必要がありそうだ。

またどこかで起こった爆発の残響を聞きながら御衣黄は思う。