「そうだ、吉野に報告したいことがあったの」

「なぁに?」

すっかり上機嫌な吉野は笑顔で冬を見つめる。

「修学旅行に行くことになったわ」

本日二度目のまん丸な瞳。

「天神学園の!?なんでっ!?」

「お初さんが行けないって言うから、代わりにね。教員免許も発行済み」

その教員免許は初たちが苦労して苦労してようやく発行できたものだが。

「いいなぁ、いいなぁ……。あれ」

いきなり怪訝な表情。

「冬、もしかしてお酒目当てじゃないよね?」

ふい、とあらぬ方向を見た冬に吉野は。

「先生がお酒飲んじゃ駄目だよ!めっ!」

最もなことを進言するが、

「吉野ひどい。唯一の楽しみを奪うつもりなの?」

よよと泣き真似をする冬には全く効いていない。

「だーめ!冬は良くても他の先生たちが困るでしょ?」

「……吉野天才」

「へ?」