カチ、

時計の動く音が響く。


それは天神学園にとってとても珍しいことだった。

ここは天神学園のとある教室。

この頃赴任した佐倉 御衣黄は、妙な感慨と共に黒板の上にある時計を見た。

秒針は5を超えたところか。

ならばやはり聞き間違えではなく、時計の針が動いた音だったわけだ。

この天神学園では珍しいことだな、と思いながら数学の公式を書き終える。

10秒もかかっていないはずだがその間に破壊音が聞こえた。

どこかのサボリな生徒か教師が何かを壊したのだろう。